LICENSE GUIDE

「商用可」の先まで、確認する。

日本語フリーフォントは「商用利用OK」と書かれていても、Web表示・PDF配布・アプリ同梱で必要な確認が変わります。主要ライセンスごとに、できること・気をつけることを実例で整理しました。

まず押さえる4段階

「商用利用」と一口に言っても、フォントファイルが相手に渡るかどうかで意味が大きく変わります。次の4段階で考えると、ライセンス判断がぶれません。

  1. ① 自分のPCで使う インストールして制作する段階。ほぼすべてのフォントで許可されています。
  2. ② 完成品として見せる 画像・PDF・印刷物として、フォントを「結果物」に焼き付けて配布する段階。多くのフォントで許可されますが、Adobe Fontsなどは条件があります。
  3. ③ フォントデータを相手に渡す Webサーバーに置く、PDFに埋め込んで配布する、アプリに同梱する。ここからライセンスの差が大きく出ます。
  4. ④ 再配布する フォントファイル自体を、改変・テンプレ・他人への提供などで配る段階。OFLでもApacheでも、配布条件の確認が必須です。

QUICK REFERENCE

主要ライセンス × 用途の早見表

○ 一般的に使いやすい △ 禁止ではないが条件確認が必要 × 通常その用途では使わない・別ライセンスが必要

ライセンス / 提供形態代表例Web表示PDF埋め込みアプリ同梱確認ポイント
OFLNoto / Zen / Shippori 系○ 条件確認改変時のフォント名、ライセンス文書、再配布条件
Apache 2.0一部のGoogle Fonts系○ 条件確認著作権表示、ライセンス文書、NOTICE の扱い
IPAフォントライセンスIPAex Gothic / Mincho○ 条件確認○ 条件確認ライセンス文書の同梱、再配布時の表示、派生フォントの扱い
Adobe FontsAdobe提供フォント全般○ Adobe埋め込みコード○ 条件確認×self-host不可、サーバーインストール不可、サブスク終了時の扱い
OS付属フォントヒラギノ / 游ゴシック など△ ※下記参照△ 環境・書き出し条件による×フォントファイルを取り出して配布しない。用途ごとのライセンス確認

上記はざっくりの目安です。実装・納品の前には必ず公式ライセンスを確認します。OS付属フォントのWeb表示は、CSSで端末内フォントを呼ぶのは可能ですが、フォントファイルをサーバーに置いて配信するのは原則不可です。

JUMP TO

オープンソース日本語フォントの主流ライセンス

OFL(SIL Open Font License)

Google FontsをはじめOSS系の日本語フォントで最も多く採用されているライセンス。商用利用・改変・再配布・埋め込みを広く許可しますが、フォント自体の有償販売や予約フォント名のままでの改変配布など、いくつかの条件があります。

  • Noto Sans JP
  • Noto Serif JP
  • Zen Kaku Gothic New
  • Shippori Mincho
  • Zen Maru Gothic
  • Klee One
  • Dela Gothic One
  • BIZ UDPGothic
  • IBM Plex Sans JP

OK例

  • 自分のPCで制作物を作る
  • 商用Webサイトに表示する(Google Fonts経由でもself-hostでも可)
  • 商用印刷物に使い、PDFに埋め込んで入稿する
  • ロゴをアウトライン化して配布する
  • 改変したフォントを別名で再配布する(ライセンス文書を同梱)
  • アプリにフォントを同梱する(ライセンス文書同梱、配布条件の確認が必要)

NG / 注意

  • フォントファイル単体を有償で販売する
  • 改変したフォントを、元の予約フォント名(Reserved Font Name)のまま再配布する
  • ライセンス文書(OFL.txt)を同梱せずに再配布する
  • フォントを別ライセンスに変えて再配布する

確認ポイント

  • 予約フォント名(Reserved Font Name)が指定されていないか
  • 改変・サブセット化したファイルの再配布条件
  • 配布物にOFLライセンス文書が含まれているか
openfontlicense.org(公式)を見る →

ソフトウェア由来のオープンライセンス

Apache License 2.0

もとはソフトウェア向けのライセンスですが、一部の日本語フォントでも採用されています。商用利用・改変・再配布まで自由度が高い一方、著作権表示やNOTICEファイルの保持などのルールがあります。

  • 一部のGoogle Fonts系(Kosugi 系など)
  • Apache 系派生UIフォント

OK例

  • 商用Webサイトで使用する
  • 商用印刷物に使ってPDFに埋め込む
  • 改変して別の名前で配布する
  • アプリやサービスに組み込む(NOTICE文書を同梱)

NG / 注意

  • 著作権表示やライセンス本文を消した状態で再配布する
  • NOTICEファイルがあるのに、配布物に同梱しない
  • 改変した事実を示さずに、オリジナルと同名で配布する

確認ポイント

  • 著作権表示の保持
  • NOTICE文書の有無と扱い
  • 改変したことを示す注記の追加
Apache License 2.0(公式)を見る →

情報処理推進機構(IPA)の独自ライセンス

IPAフォントライセンス v1.0

IPAex Gothic / IPAex Mincho などで採用されている独自ライセンス。商用利用・複製・頒布・改変は許可されていますが、再配布時のライセンス文書同梱や、派生フォントの扱いに特有のルールがあります。

  • IPAex Gothic
  • IPAex Mincho
  • IPAフォント(旧)

OK例

  • 自分のPCで使う
  • 商用Webサイト・印刷物・PDFで使用する
  • 派生フォントを作って配布する(条件あり)
  • アプリや帳票システムにフォントを同梱する(条件あり)

NG / 注意

  • ライセンス文書(IPA Font License Agreement v1.0)を同梱せずに再配布する
  • 派生フォントを「IPA」と同じ名称で配布する
  • 派生フォントの利用者に、IPAフォントライセンスと同等以上の条件を課さずに配布する

確認ポイント

  • 派生フォントを作る場合の名称ルール
  • 再配布時のライセンス文書同梱と表示
  • 派生フォントを再利用する人への条件継承
IPAフォントライセンス(公式)を見る →

Creative Cloudのサブスクリプション契約に紐づく利用

Adobe Fonts

Adobe Creative Cloud契約に含まれる商用フォントサービス。サブスク契約期間中、Web表示や印刷物などでの使用が認められていますが、フォントファイル自体を相手に渡す使い方は基本的にできません。

  • 貂明朝
  • りょう Display
  • 黎ミン
  • 砧(Kinuta)
  • 源ノ角ゴシック など

OK例

  • Creative Cloud契約中、自分のPCで制作に使う
  • 商用Webサイトに、Adobe提供の埋め込みコードで表示する
  • PDF・電子書籍にフォントを埋め込んで配布する(条件確認)
  • ラスタライズ・アウトライン化された素材を動画・SNS・YouTubeなどで配信する
  • 制作物のロゴをアウトライン化して書き出す

NG / 注意

  • フォントファイルを自分のサーバーにアップロードして配信する(Webフォントのself-host)
  • フォントファイルをアプリ・ゲーム・電子書籍リーダーに同梱して配布する
  • フォントファイルを社内・物理サーバーにインストールして全員で共有する
  • サブスク終了後にフォントファイルを使い続ける(ラスタライズ済み素材の使用は別途確認)

確認ポイント

  • Creative Cloudの契約状態
  • Webフォント利用はAdobe提供コード経由になっているか
  • アプリ同梱・自前サーバーで使いたい場合は、フォントベンダーから別途ライセンスを取得
Adobe Fonts ライセンス(公式)を見る →

MacやWindowsに最初から入っているフォント

OS付属フォント

ヒラギノ、游ゴシック、Meiryo、SF Pro など、OSにバンドルされているフォント。基本的に「その端末上で表示・制作に使うため」のライセンスで、フォントファイルの持ち出しや配信は原則できません。

  • ヒラギノ角ゴ / ヒラギノ明朝
  • 游ゴシック / 游明朝
  • Meiryo
  • SF Pro
  • Segoe UI

OK例

  • 自分のPCで資料や制作物を作る
  • CSSでシステムフォントとして指定し、訪問者の端末にあるフォントを呼び出す(フォントファイルは配信しない)
  • PDFに埋め込んで配布する(フォントごとに埋め込み可否の確認が必要)

NG / 注意

  • フォントファイルを取り出してWebサーバーに置き、Webフォントとして配信する
  • 他のPCに勝手にコピーして配布する
  • アプリやゲームに同梱する
  • 別ライセンスに変換して再配布する

確認ポイント

  • OSライセンスで認められる利用範囲(個人/法人/再配布の可否)
  • フォントごとの埋め込み許可(fsType値など)
  • Webサーバー設置は原則不可、と覚えておく
macOSに組み込まれているフォント(Apple公式)を見る →

もっと体系的に学びたい人へ

ライセンスを「商用可だけで判断しない」考え方は、Lesson 05でたとえ話とチェックリストつきで学べます。実務で迷ったときに戻ってこられる入門編です。

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