LESSON 05 / 07

ライセンス 約5分

「商用利用OK」だけで判断してはいけない理由

ライセンスは「使う場所」で意味が変わる

「商用可」と書いてあったから安心、は危険。Web表示・PDF配布・アプリ同梱は、それぞれ別の許可が必要なことが多いんです。

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① まず結論

「商用利用OK」は、すべての使い方が許可されているという意味ではありません。フォントは「どこに置くか」「誰に渡すか」で必要な許可が変わるので、用途別に確認するクセをつけると安全です。

② たとえ話

レストランの食材ライセンスにたとえると、許可の段階が見えやすくなります。

「自分の店で料理していい」は、自分のPCで制作に使う段階。

「料理としてお客さんに出していい」は、画像・PDF・印刷物など、完成した成果物として見せる段階。

「レシピと材料をセットで渡していい」は、フォントデータを含むテンプレートやアプリを配る段階。

「他のお店にも材料そのものを配っていい」は、フォントファイルを再配布する段階。

同じ「商用可」でも、完成品として見せるだけなのか、フォントデータそのものを渡すのかで意味が変わります。だからフォントでは、「商用利用できるか」だけでなく、「フォントファイルが相手に渡る使い方か」を確認することが大切です。

「商用可」と「全部使い放題」は別の話。

③ 図解で見る

主なフォントライセンスと、確認しておきたいポイント。○=一般的に使いやすい / △=禁止ではないが条件確認が必要 / ×=通常その用途では使わない・別ライセンスが必要。

ライセンス / 提供形態代表例Web表示PDF埋め込みアプリ同梱確認ポイント
OFLNoto / Zen / Shippori 系○ 条件確認改変時のフォント名、ライセンス文書、再配布条件
Apache 2.0一部のGoogle Fonts系など○ 条件確認著作権表示、ライセンス文書、NOTICEの扱い
IPAフォントライセンスIPAex Gothic / Mincho○ 条件確認○ 条件確認ライセンス文書の同梱、再配布時の表示、派生フォントの扱い
Adobe FontsAdobe Fontsで提供される各フォント○ Adobe埋め込みコード○ 条件確認×self-host不可、サーバーインストール不可、サブスク終了時の扱い
OS付属フォントヒラギノ / 游ゴシックなど△ ※下記参照△ 環境・書き出し条件による×フォントファイルを取り出して配布しない。用途ごとのライセンス確認が必要

上記はざっくりの目安です。実装・納品の前には必ず公式ライセンスを確認します。OS付属フォントのWeb表示は、CSSで端末内フォントを呼ぶのは可能ですが、フォントファイルをサーバーに置いて配信するのは原則不可です。

④ よくある失敗

OS付属フォントをWebサーバーに置く

MacやWindowsに最初から入っているフォントは、基本的に「その端末上で表示・制作に使う」ためのものです。フォントファイルを取り出してWebサーバーに置き、Webフォントとして配信する使い方は、通常のOS付属ライセンスの範囲を超える可能性が高いです。Webで使いたい場合は、Webフォントとして配信できるライセンスのものを選びましょう。

Adobe FontsのWebフォントをself-hostしようとする

Adobe Fontsは便利ですが、WebフォントはAdobeが提供する埋め込みコードで使う前提です。フォントファイルをダウンロードして、自分のサーバーに置いて配信する使い方はできません。また、アプリやサーバーにフォントファイルを組み込む場合は、Adobe Fontsとは別に、フォントベンダーから適切なライセンスを取得する必要があります。

改変したフォントを「自作です」と配布する

OFLは改変・再配布を許可していますが、「元のフォント名はそのまま使ってはいけない」など条件があります。ライセンス文書を一緒に同梱するルールも忘れがちです。

⑤ 実務ではこう判断する

「Web」「印刷」「PDF配布」「アプリ同梱」を分けて考える

ひとくちに商用利用と言っても段階がいくつもあります。自分の案件で「どこまで使うか」をリストアップしてから、ライセンスを確認すると抜けが減ります。

クライアントワークでは「相手が使う範囲」も含めて確認

自分が制作で使うだけでなく、クライアントが納品後に「ロゴとして書き出して印刷する」「アプリに使う」など発展させる可能性があります。納品物の使われ方も視野に入れて選びます。

迷ったら、公式ライセンスが確認しやすいGoogle Fonts掲載フォントから選ぶ

初心者のうちは、ライセンス文書が見つけやすく、Web利用もしやすいGoogle Fonts掲載フォントを選ぶと安全です。特にOFL系のフォントは、Web・印刷・PDF配布など幅広い用途で使いやすい候補になります。ただし、Google Fontsに載っていても、案件で使う前には必ず各フォントのライセンスを確認しましょう。

⑥ 用語メモ

OFL
SIL Open Font License。Google Fonts系で多い。商用利用・改変・再配布まで広く許可。
Apache License
ソフトウェア由来のライセンス。著作権表示を残せば自由度が高い。
IPAフォントライセンス
IPAex系の独自ライセンス。再配布時にライセンス文書の同梱が必要。
再配布
他の人に渡す行為。アプリ同梱やフォントファイルをWebに置く行為も含まれる。

⑦ 学習後のチェック

  • 「商用可」だけで判断しないと決めた
  • OFL / Apache / IPA の違いをざっくり言える
  • 「Web」「PDF」「アプリ同梱」を分けて考えられる
  • 公式ライセンス文書を読む習慣ができた

関連フォント

ゴシック / OFL

Noto Sans JP

情報を、まっすぐ届ける。

清潔で中立。企業サイト、UI、長文本文まで安定して使える日本語ゴシックの基準線です。

  • 中立
  • 清潔
  • 信頼
  • 機能的

UD・公共 / IPA

IPAex Gothic

文書の形を、崩さない。

PDF、帳票、配布資料など、日本語文書の安定性を優先する場面で候補になります。

  • 公共
  • 堅実
  • 説明的
  • 無難

明朝 / OFL

Shippori Mincho

風の音に、耳を澄ます。

文化系、工芸、旅館、和菓子など、上質で繊細な雰囲気を出したい場面に向きます。

  • 静謐
  • 文化的
  • 繊細
  • 上質