① まず結論
同じ文章でも、フォントが変わると伝わる「印象」が変わります。だからフォントは文字の装飾ではなく、文章を読み上げる「声色」だと考えるとしっくりきます。
② たとえ話
同じ台本でも、誰がどんな声で読むかで印象がガラッと変わるのと同じです。
「春の新作フェア」という同じ文字列でも、明朝体で書けば落ち着いた百貨店の案内のように、丸ゴシックで書けば近所のパン屋さんや地域のイベント案内のように、極太のディスプレイ書体で書けば家電量販店のチラシのように見えます。
つまり、フォント選びは「何を書くか」ではなく「誰の声で言ってもらうか」を決めている作業です。だから本文と見出しで違う声を使い分けるし、ブランドごとに似合う声があります。
フォント選びは、文章のキャスティング。
③ 図解で見る
同じ「春の新作フェア」を、3つの書体で読み上げてみる。
Shippori Mincho(明朝)
春の新作フェア
落ち着いた大人の声。百貨店・呉服店・旅館のような上品さ。
Zen Maru Gothic(丸ゴ)
春の新作フェア
やわらかく親しみのある声。カフェ・雑貨・地域コミュニティ向き。
Dela Gothic One(ディスプレイ)
春の新作フェア
強く目を引く声。セール・YouTubeサムネ・キャンペーン向き。
④ よくある失敗
「無難そうだから」と何も考えずに全部同じ調子で揃える
Noto Sans JPは確かに外しにくい優等生です。ただし、全ページ・全要素を同じ太さ、同じサイズ感、同じテンションで組むと、ブランドの個性や情報のメリハリが出にくくなります。別の書体を足す方法もありますが、まずは見出し・本文・補足で、太さ・サイズ・余白・字間を変えて「声の強弱」をつけるだけでも印象は大きく変わります。
1ページに4種類以上のフォントを混ぜる
声の違う人が次々に話し始めると、聞き手はどこに集中すればいいのか分からなくなります。フォントも同じで、1ページ内では多くても2〜3書体までに絞ったほうが、声のキャスティングが整います。
⑤ 実務ではこう判断する
出したい印象から逆引きする
信頼感なら中立的なゴシック、高級感なら明朝、親しみなら丸ゴ、瞬間的なインパクトならディスプレイ書体。「どんな声で言ってほしいか」を一言で書き出してから選ぶと迷いません。
見出しと本文で役割を分ける
見出しは、読み手の目を止める「呼びかける声」。本文は、内容を落ち着いて届ける「説明する声」です。見出しには少し個性のあるフォントを使い、本文には読みやすいフォントを使う。または、同じフォントの中で太さやサイズを変える。このように役割を分けると、ページ全体が読みやすくなります。
⑥ 学習後のチェック
- 「フォント=声色」というイメージが持てた
- ブランドや用途に対して「どんな声で言いたいか」を考えられる
- 見出しと本文を別の声で組み立てる発想ができた
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